技能実習制度と失踪に関するデータ
近年、技能実習生が失踪し、その後犯罪行為を行い逮捕されるような事例が相次いで報道されています。技能実習制度となじみがない方々にとっては、研修を目的に来た外国人が、自国で悪さをしている、と悪感情を抱いていることも多いと思います。実際客先でそのような話をよく耳にします。特に、上記データからわかるように、ベトナム人実習生の失踪数は全体の約6割に達し、報道もベトナム人関連のものが多いため、ベトナム人実習生の印象はあまり良くありません。ベトナム人実習生の中には、初めから日本にあるベトナム人犯罪組織?のようなものに入るために来日してきている、というような極論を聞くこともあります。
しかし、現実はどうでしょうか?
彼らの多くは、日本に来るための渡航費や教育費、訳のわからない仲介費など総額100万円超を借金して、来日します(私たちはその撲滅のためにも活動していますが、それは別の項で筆を取ります)。それから、約1年かけて借金を返済しつつ、仕事をし、技術の習得を目指します。技術が習得できれば、その後は在留資格を変更して、公な労働者として、日本でのキャリアをスタートすることができます。
発展途上の母国でキャリアを積みにくい若者にとっては、決して悪くない道筋です。
それなのに、なぜ技能実習生が失踪するのでしょうか?
順当に進めば、失踪して怯えながら過ごすこともなく、安定した収入と日本の高い技術を基とした研修が受けれるにもかかわらず、なぜ失踪するのでしょうか?
私たちは、受け入れ先の企業や監理組合に責があると考えます。
私たちが保護している失踪者に話を聞くと、
・残業代の未払い・残業の未計算
・日本人労働者からの暴力・暴言・いじめ
・最低賃金違反
など、
受入企業やその違反行為を指導しない監理組合に責がある理由しか出てきません。
しかし、失踪者の声は、現実世界に届きません。
彼らの多くは日本語力も未熟で、受けた違法な仕打ちを相談する場所も知りません。
ゆえに、実習生に失踪の責任があると一方的に判断され、結論づけられています。
真面目で、緑多き田舎で育った純粋な若者が、日本という先進国に夢を持ってきたアジアの若者が、利益のみを追求する悪徳企業にひっかかたが故に、希望を捨て、失踪者として異国で厳しい生活をすることを強いられているのです。
借金を返していない者は、母国で待つ愛する家族にも迷惑をかけているため、おいそれと帰国することもできません。
そして、そのような失踪者たちを支援するような団体や組織もありません。点数稼ぎのために、実習先変更支援サイトに登録をしている監理組合は数多ありますが、実際の支援を行う団体はごく少数です。
基本的な理念を曲解し、営利活動に精を出す監理組合からすれば、失踪者の支援など、お金と手間がかかる煩わしいものでしかありません。
だからこそ、私たちは、立ち上がりました!
親ガチャならぬ、受け入れ先企業ガチャでハズレを引いてしまい、困窮している失踪者たちに、最後のチャンスを与える活動をしております。
弱き立場の者に寄り添うこと、常に倫理的な経営判断をすること(倫理資本主義)はWIN国際協同組合の根幹をなす信念です。
他の組合様からは、失踪者を匿っている、などとの中傷も受けますが、私たちの信念はゆるぎません。
まだ主張したいことは多々ありますが、私たち組合は、失踪者や困窮している在日外国人を全力で支援することをここに改めて宣言し、末筆とさせていただきます。
ご一読ありがとうございました。
技能実習継続支援の活動に賛同してくださる方がいましたら、いつでも気兼ねなくご連絡ください。